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Rosso di Montalcino 2019 Le Chiuse [毒味または晩酌]

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Rosso di Montalcino 2019 Le Chiuse
ロッソ・ディ・モンタルチーノ 2019 レ・キユーゼ

2019年はこれまで30年経験した中で最も涼しい6月でしたが、夏にはしっかりと気温も上がり、一部の雨が土壌を潤し、穏やかな9月にはブドウは理想的な成熟を迎えました。海抜300m、北向きの7haの畑はガレストロ・トゥーフォ、化石を多く含む石灰を帯びた粘土質土壌。イル・グレッポ畑と同じくマッサルセレクションされたB-BS11のクローンのサンジョヴェーゼ・グロッソとなりますが、ロッソ・ディ・モンタルチーノには樹齢13年、23年、30年の三カ所の区画からのブドウが使用されます。9月の最終週に手詰みで20kg入りのカゴで丁寧に選果して収穫されたブドウは30分以内に除梗、破砕、圧搾され29度以下に温度管理されたステンレスタンクで19日間のアルコール発酵。発酵期間中はポンプオーバーやパンチダウンが施され抽出が促されます。タンク内でマロラクティック発酵が行われ、スラヴォニア産の20hlの大樽で13ヶ月の樽熟成後、澱引きをかねてセメントタンクに移され2ヶ月休ませた後、軽いフィルターをかけて2021年の三月に瓶詰めされました。2019年の生産本数は12,000本となります。ちなみに公式のアルコール度数は14,37度。
レ・キユーゼらしい特徴的な縦長の多角形ラベル。このロッソはクリーム色地に薄い黄緑色のブドウのパターン。コルクは2018年同様になかなかの質の5cmが奢られているのもいいですね。グラスはヴィノムのブルネッロ型、表記のアルコール度数は2018年は13度でしたが、この2014年は14度と1度UPとなります。まるでピノ・ノワールと表現したい明るさと淡い色合い。明るさへのグラデーションあるルビー色は、注ぎたてはなんて淡い(≒薄い)んだろうと思いつつもそれなりに注ぎ足すとグラデーニョンから深みが増してくる感じ。とはいえ、サンジョヴェーゼとしてはかなり淡いタイプですね。グラスからの情報は十分開いて感じ取れ、2018年にも感じた、ほっこりとした甘味もあるこし餡の小豆な風味、マラスキーノチェリー、光沢のあるブラックチェリーな果実香に、少しバイオレットのリキュールを感じます。果実香とともに樽香も感じますが、派手過ぎないいい塩梅。塩梅といえば、どこか甘味があるんだけども、香りが豆大福に似てると思うと塩味すら感じますね。うん、出町柳系としよう(すみません、京都ローカルな話です)。
口に含みますと、香り同様にチェリー系の果実味が主体。もうちょっとアルコール感を飲み口に感じるかと思ったら、ボディ増しに貢献すれど、カロリーを感じさせることはありません。全体的にしっとりとまとまったタイプで、チャラさのないミディアムボディ。非常に渋味も上質かつ、渋味に甘味がリンクします。果実味は穏やかな密度がありふくよかさも感じますが、眩しいような力強さではなく、うちに秘めたる部分から外向的に‥ではなく、じんわりと染み出すように広がります。と、同時に深さへのベクトルも感じ、より立体的な酒質ですね。とはいえ、全体的にはいい意味で落ち着き、大人しいタイプで、押し付けがましい濃さなどは皆無でもあります。
2019年はアルコールが高い分のボディの大きさは感じますが、そこを埋める密度もしっかり備わっている印象。まだ一杯目ですがすでに旨味がありますね。渋味、酸味ともに旨味や果実味にしっかり溶け込んでおり、一杯目から、全開で飲めるのも嬉しい。
うーん、しみじみ旨いですね。味の要素がやっぱりハッキリしているというか、力強さがあるんだな。飲み進むにつれ、グラスのワインが少なくなるとなおさら、淡さも目立つんだけれども、色と味わいの濃さ(語弊あり)は比例しないんだよね。RDMらしい使いやすさもいいですよね。BDMだと若いうちはちょっとモッタイナイと思うかもしれませんが、RDMはすぐおいしい、すごくおいしい、が基本ですからね。
二杯目はさらにまとまりますね。うん、一体感がある。終盤に苦みも感じますし、果実とアルコールの甘味があるので、いい感じで苦甘さがありますね。ワイン単体で楽しめてしまう酒質、強めのチーズプレートやドライフルーツ、お高いパン(笑)もあればいいですね。お肉料理だと煮込みがいいかなあ。ハンバーグでもいい。フォアグラなどの脂があってもいいし、レバーのようなまったり鉄分もいいでしょう。ワイン単体で旨いんだから、料理との親和性はあまり難しく考えなくても、だいたいイケる‥というのも嬉しい。
うーん、旨いねえ。いいスパイス感と、ワイルド系果実の香味も出てくるし飽きない。
二日目もヴィノムのブルネッロ型。閉じ感のない無理のない開き。複雑なチェリー系の果実香、キャンティ的なスミレではありませんが、スミレの風味もありますね。アルコール感も落ち着き、ハッキリとした旨甘味があり、少し香ばしく、スパイシーな風味もあって非常に複雑なサンジョヴェーゼ。しっかりとボディ感もありミディアム以上に感じますが、あくまでもミディアム。余韻も非常に長いですね。そのブルネッロと比較すれば、これはこれで、果実味にチャーミングさもありカジュアルですが、密度もしっかりとあり、軽々しいタイプではありません。
飲み口は非常にスムーズですね。確かにアルコール感もあるのですが、邪魔じゃない。とはいえ、酸味や渋味はしっかりと濡れておりイガイガしないのも飲みやすさの理由のひとつですね。ロッソらしい、若いうちからの親しみやすさもあるし、ほんと飲みやすい。どこか、スパイシーさに近い部分に爽やかなグリーンやホワイトの要素もあります。そこに気付くとさらに複雑さを感じるということになりますね。一本気でドーンもおいしいわけですが、細部の要素や輪郭が把握できるようになると、どんどん複雑さが理解できるようになります。ただし、その継ぎ目や、位置関係まで見えることになるわけで、となるとバランスが云々となる。ならば、一本気にドーンの方がバランスもドーンでわかりやすい。まあ、こんなのは自己満足でしかありませんので気にしなくていいです。
三日目もヴィノムのブルネッロ型。うん、やっぱりワイルドなチェリー系の果実香が特徴的ですね。飲み口も二日目とほぼ同じ。旨甘味があって、密度も高い。14度の粘性も感じ少しまったりとしたなめらかさがあります。おいしいですね。すぐおいしいし、すごくおいしい。満足感もあってとてもいいですね。やっぱりワイン単体でもおいしいですね。ほんと豆大福もありだと思いますし、ミスド(ミスタードーナツ)の(菅田将暉がCMしてる)「むぎゅっとドーナツ」のレーズンを肴に飲んでますが、いいですね。レーズンなどドライフルーツの深い甘みと果実風味といいですよ。レーズンパターも合いそうですね。いやあ、いいですね。三日目まで引っ張る必要はありませんが、飲み残しても二日目も十二分に美味しいですよ。いいモンタルチーノのサンジョヴェーゼです。ぜひ!

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