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100点ワインの経済学(←なにを大層に) [毒味または晩酌]

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(プロならこういう画像を見る時はグラス形状を確認するのですよ)
 
Brunello di Montalcino 2010 La Cerbaiona
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2010 ラ・チェルバイオーナ
 
"ブルネッロのチェルバイオーナ、米国の投資ファンドに売却"
 
イタリア・トスカーナのブルネッロ・ディ・モンタルチーノを代表するチェルバイオーナが、米国の投資ファンドに売却された。
 
チェルバイオーナは、元パイロットのディエゴ・モリナーリ氏が1977年に設立した。短期間で高い評価を確立し、ガンベロ・ロッソの「イタリアワインガイド」でトレ・ビッキエールの常連。ワイン・サーチャーによると、モリナーリ家と交遊のあるゲイリー・リーシェル氏の率いる投資ファンドに売却された。

現行ヴィンテージのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2010に対して、ヴィノスの評論家アントニオ・ガッローニ氏は100点を与えた。リーシェル氏はワインコレクターでもあり、ワイン造りの継続性は保たれるという。 (ワインリポート
 
※トレ・ビッキエー です。
 
私ぐらいのプロのドケチになると、ワイン・アドヴォケイト誌ではなくヴィノス誌ながら100点満点を獲ってから会社を売れば、でない場合よりもお高く売れるのだろうなあと妄想するプロのドイケズさも炸裂ですが、ご子息や後継者がいない場合は、信頼できる第三者に会社を託しておくのは当然の選択(のひとつ)ですね。 
 
 
ということでヴィノス誌のアントニオ・ガッローニは、このラ・チェルバイオーナのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2010に100点満点を献上しました。 
 
100 points Antonio Galloni (Vinous)
 
"The 2010 Brunello di Montalcino is every bit as thrilling as it was on the many occasions I tasted it from barrel. Black cherry, hard candy, plum, rose petal, menthol and lavender saturate the palate in a sumptuous, racy Brunello endowed with magnificent depth and pedigree. An utterly stunning, sensual wine, the 2010 constantly changes in the glass as it conquers all the senses with an exotic kaleidoscope of aromas, flavors and textures. I remember tasting the 2010 from cask a few years ago when Diego Molinari was too unwell to go down to the cellar. Nora Molinari tasked me with essentially serving myself as we went from vintage to vintage and cask to cask. For days after, I was mortified that I might not have closed some of the spigots tightly enough. Fortunately, that was not the case. In all of my years tasting the wines of Montalcino, I have only come across two wines with this level of textural unctuosity and sweetness; Gianfranco Soldera's 1983 Brunello and 1990 Riserva. Cerbaiona's 2010 Brunello di Montalcino will leave readers weak at the knees. It is every bit that profound. Drink: 2018-2040. (Feb 2015)" 

98 points Monica Larner (Wine Advocate)
 
"The 2010 Brunello di Montalcino is an absolutely distinctive wine and one unlike this producer has ever released. It feels radically different in terms of concentration, intensity and complexity. I was blown away by the beautiful and profound sense of inner harmony on display here. The wine puts on an epic showing of aromas that span from the simple ripe cherry and blackcurrant to the most ethereal tones of balsam herb, root beer and licorice. In between, are hearty aromas of cured tobacco and smoked meat. It really has it all along the entire Sangiovese spectrum. In the mouth, the wine offers similar complexity with thick extraction backed by sweet and sour layers of fruit and tannic structure. If you are looking for outstanding Brunello, look no further. This is one of the top three wines of the vintage. Drink: 2017-2035. (Feb 2015)" 
 
カサノヴァ・ディ・ネリのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・テヌータ・ヌォヴァ2010では、評価が分かれたお二人さんですが、アントニオ・ガッローニは100点、モニカ・ラーナーは98点といずれも高い評価をしています。
 
なお、モニカ・ラーナーは98点の次に99点をワインを選出することなく二種類のワインに100点を付けました。つまり98点は次点なんですよね。 

カサノヴァ・ディ・ネリのテヌータ・ヌオヴァ2010年をご案内した際に、市場価格に影響するのはワイン・アドヴォケイト誌でもぐらいのもので‥と書きましたが、ワイン・サーチャーでの2014年7月から2015年9月までの価格推移を確認してみましょう。

 
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2015年2月にそれまでギリギリ200ドルだった価格が300ドル超えしていますね。上記のアントニオ・ガッローニのレヴューも、モニカ・ラーナーのレビューも2015年の2月です。
 
まあなんて露骨なのでしょう。
 
翌月には50ドルほど下がって落ち着きをみせるも、4月からジリジリとまた値段を上げ、一時は300ドルを超えたところで落ち着いているようです。
 
なお、日本市場の正規輸入元さんはエノテカさんですね。エノテカさんの現在庫は2008年が潤沢。2010年に切り替わるのはまだ先と思われますが、2009年もまだな現状、エノテカさんのことですからダブルリリースの可能性も少なからずあります。
 
ワイン・サーチャーの価格は登録されている世界中のショップの平均値だったかと思いますが、やや高めの傾向ですので実勢価格はもう少しお安いと思いますが、300ドルとなれば、1ドル120円換算ですと36,000円となりますね。 
 
エノテカさんの2008年の希望小売価格は19,000円税別。どの時点で買い付けや支払いが済んでいるかによるかと思いますが、現状海外市場がこの相場ですと、希望小売価格は軽く25,000円は超えてくるかもしれませんね。  
 
では、ワイン・アドヴォケイト誌で100点を取ったカサノヴァ・ディ・ネリのテヌータ・ヌォヴァ2010年の価格推移も見ておきましょう。
 
 
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Brunello di Montalcino Tenuta Nova 2010 Casanova di Neri
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・テヌータ・ヌォヴァ 2010 カサノヴァ・ディ・ネリ
 
スタート価格がこちらは50ドル、チェルバイオーナが150ドル、100ドルもの差があるのを頭の片隅に置いておいて下さいね。
 
やはり2015年の2月にポンと値上がりしていますね。現状150ドルあたりで落ち着いている感じです。1ドル120円換算で18,000円となります。
 
カサノヴァ・ディ・ネリの場合は、約5万本の生産本数がありますので市場にまだないわけではありません。ただし弊社の仕入れがこういう価格になっておりますので販売するとなると20,000円超えちゃいますのでもう仕入れることはないかもしれません(私物を放出するつもりはないぞ)。 

 
ワイン・アドヴォケイト誌のもうひとつの100点満点ワインであるイル・マッロネートのマドンナ・デッレ・グラツィエ2010年は価格推移グラフがありませんでした。これらの銘柄の中では圧倒的に生産本数が少ないので(5,986本です)流通している2010年モノの価格サンプルが少ないんだと思います。出し渋ってる可能性もありますね。現時点で登録されている価格帯は下記のようになっています。
 
 
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日本円換算です。
 
最安値は21,040円で、最高値は31,774円、平均すると28,607円になります。

すでに日本市場ではリリースされており、だいたいそんな感じのお値段で流通しているようです。
 
 
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こちらは2009年のマドンナ・デッレ・グラツィエの価格推移です。2014年の12月から2015年の1月にドンと価格が下がっている理由はわかりませんが、翌月2月からジリジリと価格を上げて元の価格帯に戻っている感じですね。でも70ドルちょいの相場。1ドル=120円換算で8,400円です。
 
これを見てもいかに100点をとった2010年が高騰しているのかわかりますし、少なからずバックビンテージにも影響があるのかもしれません(サンプル数少ないでなんとも)。
 
ただし、元値、スタート価格の違いって大事なんですよね。同じブルネッロ・ディ・モンタルチーノの同じビンテージでも一概に比較できないのは、蔵出し価格の時点で違えば‥となりますし、100点ともなれば希少性はさらに増幅されますので生産本数の少ないワインはさらに値段が上がります。 
 

ということで弊社販売予定のイル・マッロネートのマドンナ・デッレ・グラツィエ2010年も、だいたい現在の市場価格を反映したもの。まあ、正規輸入元さんがそのような相場なのですから、最初は並行だと高くなっちゃうなあと思っていましたが、相場で落ち着きそうです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
散々御託を並べるのは、実はお高い価格なのを正当化するための伏線記事ってーのは、ははーんと気付いてても絶対に内緒にしておいて下さいね(はあと)。 


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