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フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のワイン [参考資料]

昨日参加してきたフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の農務局が支援するプロモーション展示会での資料をほぼ原文のままの転載(一部加筆してありますが、DOCやDOCGは現時点のものです)。
 
 
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の歴史

オーストリアとスロヴェニアと国境を接するフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州、幾多の戦争を経て、スロヴェニア共和国ヤ、オーストリア帝国から返還されるなどした結果、このような長い名前となった。

東部はオーストリア帝国の貴族達が消費するための文化的なワイン造りが行われてきた歴史があり、その評価が昔から高かった。西部はヴェネツィア共和国で消費する農産物としてのワイン造りが行われてきた。1981年、第一回の、世界葡萄栽培会議が東に位置するゴリツィアで開催される。これはフィロキセラ害への対策などが話し合われた。その会議の第二回はブルゴーニュで開催された。当時は、ヨーロッパきってのワイン産地であり、ブルゴーニュよりも著名な産地でもあったようだ。

またローマ人がこの地を訪れた際、ローマ人はアンフォラで熟成させていたものを、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアでは当時から木樽が使用されていたことに驚いたそうだ。現在、一部のフリウリの生産者はアンフォラで醸造を行っていますが、実は歴史的には、ローマからもたらされたものであり、フリウル・ヴェネツィア・ジューリアの伝統的な手法ではないようだ。


フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のテロワール
  • 温暖な気候
  • 北端はアルプス山脈が立ちはだかる
  • 東(ロシア→スロヴェニア→)からの冷風が吹き寄せ、昼夜の気温差を生じさせる。
  • アドリア海を抜けて、南から吹くシロッコによって、春と晩秋にはたくさんの雨が降る。

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のさまざまなグルメ製品
  • Prosciuto di San Daniele(生ハム)
  • Montasio(チーズ)
  • Brovada(カブのピクルス)
  • Pitina(サラミ)
  • ニジマス ※全ヨーロッパの30%を賄う
  • アスパラガス

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア産ワインの現状と数値
  • フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の麺先は約8000km2におよび、美しい山脈、波打つ丘陵地帯、そした海岸まで続く広大な平野がある。その中で葡萄畑の総面積は19700ha。
  • 1400以上の醸造所が年間に合計約9000万本のワインを生産し、その販売総額は3億4500万ユーロ(その内40%は輸出)。
  • 全生産量の61%は白ワインで、残り39%が赤とロゼワイン。
  • ワイン業界は25000人の雇用を創出する。
  • 多用なミクロクリマ(微小地気候)があり、ブドウ栽培に適している証でもある。
  • フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州には10のDOC(統制原産地呼称)があり、その内3つのDOCG(統制保証原産地呼称)がある。
イタリアのワイン生産量は20年前と比較して、低品質のワイン生産が減ったのが主な原因として約半分に減っている(とはいえ、年によってはその生産量は世界二位の規模)が、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアのワイン生産量は比較的安定している。その理由は高品質ワインを造り続けているからである。

なお、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の生産面積割合は、DOC=58.01%、DOCG=0.73%、IGT=41,26%。フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアは品質に献身する地方と言える。イタリア全土のワイン生産量の2.6%しか占めていないが、イタリアのDOCとDOCG全体の生産量の5%を占める
 
 
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアの葡萄とテロワール

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアは歴史、文化、風土のユニークなブレンドからなる。地中海沿岸からアルプス山脈まで、ヴェニスの潟からスロヴェニアの丘陵地まで、ローマ時代の移籍からヨーロッパの近代的都市まで、それらはわずかな距離の間に位置している。同様にワイン産地においてもさまざまな葡萄品種が混じって存在する。
地元固有、あるいはフランス系、ドイツ系、地中海地方系、スラヴ系などの葡萄品種が何世紀もの間にこの地域にこの地方に根付き、栽培農家たちの手によって整えられ、ユニークな色、香り、風味をもつようになった。
ワインはそれを生み出す大地とともにある。

固有品種

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアは数多くの白ブドウ品種に恵まれ、固有品種とともに国際品種が共存し、その全てが、この美しい土地の幾千もの異なる特徴を表現する。
国際品種の品種は、この地方のワインが国際的なコンペティションでしばしば優勝したり、競合空いてと比較されるようになった、その土台となっている。
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアではこれらのワインの生産も盛んだが、この地方に大きな名声をもたらすのは、なんと言っても地元固有の品種だ。実際、これほど数多くの葡萄品種を栽培できるワイン産地はごく僅かしかない。
  • (Tocai)Friulano
  • Refosco dal Peduncolo Rosso
  • Glera(Prosecco)
  • Verduzzo Friulano
  • Ribolla Gialla
  • Schioppettino
  • Picolit
  • Pignolo
  • Vitovska
  • Terrano
  • Refosco Nostrano
  • Tazzelanghe
  • Ucelut
  • Picolit Neri
  • Forgirin
 
Friulano - フリウラーノ

房は、果粒の密集は中くらいで、円錐形、上部の張り出し(比翼)はひとつ、もしくは、しばしばふたつある。
果皮は薄く、果粒は丸く、一般的に種は二粒。晩熟の品種で、フリウリの複数のDOCの土壌のような、乾燥した、特に深過ぎない表土の土地が適している。

ほとんどは若くフレッシュな内に飲まれる。黄緑色がかった淡い麦わら色、非常に洗練されたアロマと風味がある。アロマはタイムやカモミール、干草、白い花、ミネラルなど。口中ではアーモンドも感じられ、また葡萄の成熟度によっては、新鮮な白い花々もあれば、熟した黄色系果物やトロピカル・フルーツも感じられる。

ヨーロッパ連合の法律では、原材料よりも原産地を守ることを優先されている。ハンガリーがヨーロッパ連合に加盟した際に、トカイという産地の原産地を守るように働きかけたので、イタリアでは品種名として使用していたトカイ・フリウラーノからトカイの名前が使えなくなった。
 

外来の国際品種

10世紀末から20世紀初めにかけて始まった再編によって、数多くの国際品種が導入された(多くがフランス系)。これらの葡萄品種(特に白葡萄)は、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアがイタリアの高品質ワイン生産をリードするきっかけでもある。
  • Pinot Grigio
  • Merlot
  • Chardonnay
  • Sauvignon
  • Cabernet Franc
  • Cabernet Sauvignon
  • Pinot Bianco
  • Malvasia Istriana
  • Pinot Nero
  • Riesling Renano
  • Moscato Giallo
  • Muller Thurgau
  • Franconia
  • Malbech
  • Moscato Rosa 
 
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のDOCG

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のDOCGに認定されているのは、いずれもColli Orientali del Friuri DOCに包括されるエリアで、2011年に認定されたばかりのRosazzaを含め3つ。そのRosazzaもかつてはColli Orientali del Friuri DOC内のサブゾーン(Sottozone)であったが2011年にDOCGとして独立した。現在もCialla(チアッラ)、Schiopettino di Prepotto(スキオペッティーノ・ディ・プレポット)他のソットゾーンが存在し、各自の組合、協会が独自の規定で品質向上と、地域や品種特性あるワインを造っている。

  • Colli Orientali del Friuli Picolit DOCG/コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ・ピコリットDOCG(2006年)
  • Ramandolo DOCG/ラマンドロDOCG(2001年)
  • Rosazzo DOCG/ロサッツォDOCG(2011年)
    ※フリウラーノ50%、ソーヴィニョン20〜30%、ピノ・ビアンコまたはシャルドネ20〜30%、リボッラ・ジャッラ他最大5%まで(たぶん)

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のDOC

  • Friuli Annia DOC/フリウリ・アンニアDOC(1968年)
    フリウリの低地の平野部から広がる葡萄畑は合計180haあり、南はマラーノの地域との間で境界線が引かれている。砂・粘土質土壌でミネラルと塩分に富み、気候は海風により温和だ。この土地のミネラリーな塩分や粘土質土壌が白ワインの方向を豊かにする。この地域を紀元前131年に古代ローマ帝国の執政官アンニウス・ルフスが建設したアンニア街道が通る。この街道は古代ローマ帝国にとって重要な役目を果たしていた。

  • Friili Aquileia DOC/フリウリ・アクイレイアDOC(1975年)
    土壌は粘土質が勝り、ゾーンごとに砂質が多かれ少なかれ府汲まれる。昔から理想的な土壌気候条件に恵まれている。海の近く、夏はそこから常に吹き寄せる海風によって涼しさがもたらされ、真冬は零下になるほど気温が下がることは珍しい。
    土壌は何千年もの間に繰り返された洪水が丘陵が削り取った、年度や砂、その他の鉱物質が堆積したものだ。
    紀行と土地が高品質な葡萄を栽培するのに完璧に調和のとれた条件を創り出している。

  • Carso DOC/カルソDOC(1985年)
    非常に独特な台地にある。地質学的に「カルシカ」と呼ばれる形成からなっている。
    この地域は主にチョーク質の石灰岩で、川や地下水によって形成された多孔質の土壌だ。
    不安定な気候がこの地域を特徴付けている。湾に沿って温暖だが、内陸は風の強い厳しい気候だ。
    平野部では、小さな区画の農地は平地かやや傾斜があり、丘陵地(標高200〜500m)では海を望む急斜面のテラス(パスティーニ)にあり、そこでは、ミネラル分が豊富な土壌に育つ葡萄から薬効のある興味深いワインが造られる。

  • Collio DOC/コッリオDOC
    第四世紀にアドリア海の変動によりアルプス山脈が侵食され堆積した石灰質により形成された丘陵地帯にある。「始新統の時代にさかのぼる泥灰砂岩」と呼ばれる土壌が浅く堆積した土地が形成されている。
    自然豊かな土地由来の非常に多様な鉱物質である。
    夏は乾燥し、冬は非常に寒く、そして一年を通して、トリエステ湾からボラと呼ばれる海風が常に吹いてくる。

  • Colli Orientali del Friuli DOC/コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリDOC(1979年)
    弧を描く丘陵全てそ占め(標高100〜350m)、スロヴェニア国境まで続くウディネ県の北東部も含む。
    始新統時代の泥灰土(粘土と石灰)と砂岩が交互に層を成す。
    大昔(3500万年〜5500万年)、フリウリの低地は海の中にあり、その海岸線は現在のジュリアン・アルプス辺りだった。この潟がゆっくりと堆積、隆起し、土地が形成された。

  • Friuli Grave DOC/フリウリ・グラーヴェDOC(1970年)
    アルプスから川によって流出した、ドロミテの石灰質由来の沖積土壌が広がる土地にある。
    また、たくさんの石があるのが特徴で、次の2つのよい影響を葡萄の木にもたらす。
    日中、石は大洋の光を反射することで、葡萄を成熟させる。
    夜間、石は日中に溜めた熱を放射する。

  • Friuli Isonzo DOC/フリウリ・イソンツォDOC(1974年)
    イソンツォ渓谷は東部アルプスの氷河から溶け出した水流が運んできた石灰質の砂礫が堆積した台地だ。
    海に近いことから、典型的な地中海性気候で、日中気温に幅があり、葡萄はゆっくりと成熟する。結果、健全でバランスの取れた、濃厚な風味とアロマを持つ葡萄が得られる。
    イソンツォ川によって隔てられ、沖積土壌によって特徴付けられた、ふたつの均一のとれた地域がある。
    右岸は石灰質には乏しく、良質な粘土質に富み、赤い色の砂礫が混じる。
    左岸は白い色の砂礫が多く、非常に石灰質に富んでいる。

  • Friuli Latisana DOC/フリウリ・ラティザーナDOC(1975年)
    ウディネ県の南部からアドリア海沿岸まで伸びる低地のゾーン。
    耕すのに骨が折れる主に粘土質土壌で、ミネラルに富む。
    一部のゾーンでは粘土、シルト、砂など軽い地質が堆積する。
    アドリア海に近いため、海風によって和らげられた葡萄樹に好ましいミクロ・クリマがある。

今日のフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア

イタリアのワイン産地で白ワインの受賞が最多。
数多くの異なる品種、原産地呼称に共通する安定した品質を生むのは、他のヨーロッパのワイン産地のどこにもないことだ。ブルゴーニュ、コニャック、あるいはオレゴンと同じ緯度にあるが、違うのはアドリア海(地中海の北端)とアルプス山脈に近いことだ。完璧な条件によって、骨組みのしっかりとした、しかしバランスのとれた白ワインと果実味がありエレガントな赤ワインが造られる。北部ヨーロッパのワインのエレガントさと同時に地中海の魂が感じられる。ワインと料理が大好きな人々が訪れるニッチな「グルメ」の旅先。
 

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