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Sicilia Bianco 2019 IDDA(GAJA・GRACI) [毒味または晩酌]

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(この光沢あるラベルがガヤっぽいでしょ。グラーチで醸造、販売はガヤということは‥ですね。)

Sicilia Bianco 2019 IDDA(GAJA・GRACI)
シチリア・ビアンコ 2019 イッダ(ガヤ・グラーチ)

そのエトナ・ロッソと共通のエトナ山の頂上から‥をモチーフとした渦のような、蜘蛛の巣のような、幾何学模様とも捉えることのできるラベル。この2019年がセカンドビンテージとなり、2018年の実物は手に取ったことがないのでわからないが、そのエトナ・ロッソは2018年と2019年でラベルの紙質とプリントが違い、よりGAJA色が強くなっていますので、このビアンコもセカンドビンテーからこの光沢のあるラベルなんだと思われます。コルクは最近では珍しいお尻と頭にビンテージの刻印のある生コルクで4,5cm、コルク自体の質はなかなか良いですね。冷蔵庫キンキン温度、グラスは迷ってザルトのユニバーサル型。ちなみに表記のアルコール度数は13度となります。

なお、すっかりエトナ・ビアンコDOCと思い込んでましたが、シチリア・ビアンコIGTとなります。畑がエトナDOC認定地区ではないということになりますが、あまり気にしなくてもいいです。

色調は決して濃いわけではないレモンイエローですがクリアでブリリアント(昔、長居公園の南に住んでた近鉄のブライアントではない)ですね。柑橘を包むような白い果肉の香り、芳香さがあるが華やかさは控えめに感じるのは、果実香の密度の高さ。ミネラルの風味もあるが、果実香にそれなりの厚みがあるんですよね。クリアでミネラルにも果実香にも重厚さを感じるのは、ガヤのロッシ・バスや、アルテニ・ディ・ブラッシカと共通するイメージ。一部に樽発酵や樽熟成をさせているようだけれども、樽の風味はそう感じることはなく、厚みに貢献している模様。

まずは口に含みます。ミネラルの中に塩気のアクセント。グラスの内側でぷちぷちとすることはありませんが、口の中では新鮮な酸味がぷちぷちな刺激に感じられます。このハーブはなんだろうな、セージかな。決して青々しい、緑々しいわけではないのだが、ハーブのニュアンスがあり、あっさりとした、エキストラバージンではないオリーオイル、13度と決して高い度数ではないが、そのオイリーさにリースリングに似た部分も確かにある。香りに甘味はあるが、飲み口のまろやかさに近い甘味の方が前。柑橘も一概にレモンでは済まされない、柑橘の皮の色にグラデーションを感じますね。基本単一品種的な方向性の一貫性がありますが、繊細な複雑さがあり、伏線回収のような酒質。リースリングとシュナン・ブランの間の落ち着いた感じ。

香味に閉じ感はないし、ミネラルを存分に感じるが硬さを感じさせるわけではない。なるほどなあ。実は(ご存知かも知れないが)、ガヤの白好きなんですよね。やっぱりロッシ・バスやアルテニ・ディ・ブラッシッカの面影がある。今回はあくまでもグラーチとのジョイント・ベンチャーであるし、醸造もまだグラーチで行っているはずだが、その味付け(語弊あり)は、ガヤのワインそのもの。今やアンジェロの時代からガヤ・ガヤさんの時代とも言えるが、彼女のセミナーで、イッダのプロジェクトでエトナ・ロッソ(ネレッロ・マスカレーゼ)の話中心になると思いきや、この白、カリカンテという品種のポテンシャルを力説していたことが理解できる。カ・マルカンダではヴィスタマーレというヴェルメンティーノと、ヴィオニエという品種に挑戦していますが、ピエモンテーゼが注力する島の品種、カリカンテのポテンシャルと、そのガヤの解釈をヒシヒシと感じますね。

少し温度が上がってきました。穏やかですね。ウナバラ感がある。でも、そこでユルく感じさせない酸のレベルはキッチリ守られているのがさすが。じゃあ、グラスを変えてみましょう。次はザルトのボルドー型です。ボルドー型と書いてますが、あたしの中では程よいブルゴーニュ型です。カリカンテってアロマチックさがあるんですね。どうして、エトナ最上地区と言われている北東側ではなく、西側なのか。ミネラル感のやわらかさ、もっといわゆるエトナはミネラルが強く(強く感じる)、焼けたような黒土の風味があるのですが、このイッダのビアンコはそれ推しではない(もちろん、要素はあるし感じる)。実はガヤのスタイルっていうのは、実は、テロワールの表現というよりも、品種特性の表現の方が強いと思ってるんですよ。だから、この場合は、エトナらしさよりもカリカンテらしさの方が強い。エトナにおけるカリカンテなんだけれども、カリカンテを自分なりに解釈、噛み砕いてガヤとしての良さを引き出した結果なんですよね。

このグラスだとオオウナバラ感があり、どっぷりとした感じ。ワイン単体でも満足感がありますね。でも、シャルドネやソーヴィニョンとはまったく違うんだけど、ガヤらしさを感じている。なんだろうなあ。バターじゃないな。油分はオリーブオイルがいい。豚肉、鶏肉ではなく魚介が近い。でも、このワインに負けないのはなんだろう。ハマグリの出汁、もちろんアサリでもいいんだけど。このまろやかさを思うと乳化のイメージもあるし、パセリの風味も欲しい。ボンゴレでもいいだけども、鯛の骨からの出汁があってもいいですよね。となるとアクアパッツァもいい。ケイパーや、トマトの風味がもいいアクセントになるはず。鶏肉なら、ササミとか、セセリとか、そこに油分としてアッサリならバターでもいいし。

二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのボルドー型にしてみます。そうなんだよな。やっぱりガヤのワインだわ。一部樽発酵、樽熟成が施されてるんだけれども、とてもピュアで透明感のある果実味と香りがある。果実香、ミネラルの香味の層、ミルフフィーユかラザーニャか、継ぎ目のない厚み。揮発的な爽快なハーブ、白い花の香り、柑橘と白い果肉果汁、やわらかさと溌剌さ、新鮮さもあるし、落ち着きもある。涼しさもあるんだけれども、未熟な果実は微塵もない。

飲み口の一体感、まとまり、グっと内側へ、核に向かい沈み込むような旨味があり、上質な酸味による唾液の誘発、いやあああ、これはガヤの作品だわ。ロッシ・バスとアルテニ・ディ・ブラッシカ大好きっ子の俺が言うんだから間違いない。

三日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはザルトのユニバーサル型です。初日から一貫性がありますね。三日目ぐらいでそう変わるものでもないのもガヤのワインらしいなあと思うんですよ。ガヤの白はいつまでも新鮮さを損なわない、老ねずにクリアなまんまなんだよな。どうやらこのIDDAのビアンコも同じだ。何も変わらないまま、10年なんて余裕で熟成‥いや、10年経ってもそれほど差はないのだろうと予想(知らんけど)。うん、いい塩気があるね。ワイン単体でも楽しめますが、なんか塩気欲しいね。エトナとはいえシチリアだし、しらす+チーズとか、アンチョビはもちろん、小イワシなど青魚もいいですね。まだ青いトマトなんかもいいかなあと思うんですが、最近はまだ未熟かもという感じのトマトは売ってないけどね。もう完成度の高さに関心しちゃうな。

ただ、ガヤが関与するからと言って、この価格を肯定、受け入れられるか?はお客様次第。ただ、他のスタンダードなエトナ・ビアンコ達を比べても酒質、味わいは負けてない。ガヤなんだからこれぐらいしても不思議でもなく、個人的には納得。来年も買うことになるだろう、そして、熟成もさせてみたいですね。白なんだけど、ガヤの白の熟成耐性の高さはこのイッダのビアンコにも垣間見える。


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